厩牧令(くもくりょう)抜粋
12 | 凡須校印牧馬者。先尽牧子。不足。 国司量須多少。取随近者充。 |
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凡そ牧の馬を校印すべくは、先づ牧子を尽せ。 足らずは、国司須ゐむ多少を量りて、随近の者を取りて充てよ。 |
13 |
凡牧馬。応堪乗用者。皆付軍団。 於当団丘士内。簡家富堪養者充。免其上番及雑駈使。 |
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凡そ牧の馬、乗用に堪ふべくは、皆軍団に付けよ。 当団の兵士の内にして、家富みて養ふに堪へたる者を簡ぴて充てよ。其の上番、及び雑の駈使を免せ。 |
14 |
凡諸道須置駅者。毎卅里置一駅。 若地勢阻険。及無水草処。随便安置。 不限里数、其乗旦及蓑笠等。各准所置馬数備之。 |
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凡そ諸道に駅置くべくは、卅里毎に一駅を置け。 若し地勢阻り険しからむ、及び水草無からむ処は、便に随ひて安置せよ。 里の数を限らず。其れ乗具及び蓑、笠等は、各置かむ所の馬の数に准へて備へよ。 |
15 |
凡駅。各置長一人。取駅戸内家口富幹事者為之。 一置以後。悉令長仕。若有死老病。及家貧不堪任者。 立替。其替代之日。馬及鞍具欠闕。並徴前人。 若縁辺之処。被蕃賊抄掠。非力制者。不用此令。 |
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凡そ駅には、各長1人置け。駅戸の内の口富みて事に幹からむ者を取りて為よ。 一たび置きて以後、悉くに長く仕へしめよ。 若し死に、老い、病し、及び家貧しくて任に堪へざること有らば、 立て替へよ。其れ替へ代へむ日に、馬及び鞍具欠き闕けらぱ、並に前の人に徴れ。 若し辺に縁れみ処、蕃賊に抄掠せられて、力の制するところに非ずは、此の令用ゐじ。 |
16 | 凡諸道置駅馬。大路甘疋。中路十疋。小路五疋。 使稀之処。国司量置。不必須足。 皆取筋骨強壮者充。毎馬各令中中戸養飼。 若馬有闕失者。即以駅稲市替。 其伝馬毎郡各五。皆用官馬。若無者。以当処官物市充。 通取家富兼丁者付之。令養以供迎送。 |
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凡そ諸道に駅馬置むことは、大路に甘疋、中路に十疋、小路に五疋。 使稀らならむ処は、国司量りて置け。必ずしも足れるを須たず。 皆筋骨強く壮りなる者を取りて充てよ。馬毎に各中中の戸をして養ひ飼はしめよ。 若し馬闕失すること有らぱ、即ち駅稲を以て市へ替へよ。 其れ伝馬は郡毎に各五。皆官の馬を用ゐよ。若し無くは、当処の官物を以て市へ充てよ。 通ひて家富みて兼丁ある者を取りて付けよ。ひて以て迎送に供せしめよ。 |
以下略 |
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作成者 藤本典夫